Techmation

テクメイション通信Vol.003

おはようございます!株式会社テクメイションです。

日に日に暖かくなってきましたね。
朝晩も重い上着が要らなくなるのは、身も心も軽やかになるものです。
花粉症の方はもうしばらく辛い時期が続きますが、どうぞご自愛ください。

今回も流体制御をテーマにお役立ち情報をお届けします。
どうぞよろしくお願いいたします。

(本日の担当:山本)

今回のもくじ

1.【技術情報】ふたつのセンシング方式

2.【技術情報】Cv値ってなんですか?

3. 編集後記

ふたつのセンシング方式

前回お話しした減圧弁の動作原理の中で、圧力を感知する部品(センサー)にはふたつの方式があることをご紹介しました。

今回はそれぞれのセンシング方式についてお話しします。
それぞれメリットデメリットがあり、圧力調整器を選定するにあたって重要な要素です。

ダイアフラム式

金属、またはゴムの薄膜を使ったセンサーです。

ダイアフラム式センサー
金属ダイアフラム

小さな力で変形するので精度に優れています。
ダイアフラムを挟み込むことでシールしますので、よけいなガスケットを使う必要がありません。金属ダイアフラムであれば接液部を金属とオリフィスの樹脂のみにすることでさまざまな流体に対応できます。

反面、大きな力が加わると永久的に変形してしまったり破損したりしますので、TESCOM社では調整圧力が500psi(3.44MPa)までの製品に使われています。
また、流体の脈動が激しいと金属疲労により製品寿命が短くなる場合もあるので注意が必要です。

ピストン式

金属のブロックを使ったセンサーです。

ピストン式センサー
ピストン

大きな力に耐えられますので、100MPaを超えるような圧力も調整することが可能です。
脈動にも強く、破損することはほとんどありません(脈動を抑えられるかどうかは別の問題です)。

摺動させるためにはOリングが必要で、流体によっては使えない場合もでてきます。
また、微圧を制御するのは苦手です。

どちらの方式がいいのでしょうか?

調整したい圧力が3.44MPaを超える場合はピストン式しか選択肢がありません。

問題は3.44MPa以下の場合です。流体・温度・脈動の有無によって適した方式が変わります。ご使用条件を教えていただけましたら適した製品を選定しますのでお気軽にお問い合わせください。

ホームページから問い合わせる

Cv値ってなんですか?

バルブや圧力調整器を選定する際、使用可能圧力や使用可能温度範囲と共に「Cv値」も重要な要素です。

「Cv値」とは、バルブの出入り口の差圧が1psi(0.007MPa)として華氏60度(15.6℃)のを流した時の流量をUSガロン/minで表した流量係数です。
数値が大きいほど多くの流量が取れるバルブとなります。

流量が充分に取れないと、減圧弁だと調整圧力不足になったり、背圧弁だと逆に設定圧力以上に圧力が保持されてしまいます。
と言って大きすぎるCv値の圧力調整器を選定すると、圧力の調整が大雑把になってしまう可能性が大きくなります。

使用したい流量に適したCv値の機器を選ばなくてはなりません。

Cv値による液体の流量計算

液体の流量計算式は非常に単純です。

液体の流量計算式

QL = 液体流量(USガロン/min)
P1 = 一次側圧力(psi:1psi = 約0.007MPa)
P2 = 二次側圧力(psi)
ΔP = P1 - P2(psi)
SL = 液比重

差圧1psi、水の比重1、Cv値を0.5とすると、流量は0.5ガロン毎分となります。

Cv値による気体の流量計算A

気体の流量計算式は少し複雑になります。

液体と違って気体は圧縮性流体なので圧力によって密度が異なります。差圧だけでなく二次側圧力も計算要素に入ってきます。

機体の流量計算式A

Qg = 気体流量(SCFM:1SCFM = 約28.32NL/min)
P1 = 一次側圧力(psi:1psi = 約0.007MPa)
P2 = 二次側圧力(psi)
ΔP = P1 - P2(psi)
Sg = 気体の比重

Cv値による気体の流量計算B

二次側圧力が一次側圧力の50%より小さい場合(P2≦P1/2)、下記の計算式を使わなければなりません。

機体の流量計算式B

これは差圧が元圧の半分まで大きくなると気体の流速が音速になるからです。
これ以上はどんなに差圧を大きくしても流量が増えることはありません
よって、計算式は一次側圧力のみが計算要素となります。

Cv値による流量計算の限界

Cv値による流量計算はオリフィスが固定できるバルブなどでは有用ですが、圧力調整器では全ての状況で当てはまるわけではありません。
あくまでも圧力を調整する機器ですので、オリフィスは固定ではなく状況に応じて可変します。特に流体圧力が低い時にはステムを固定するためのスプリングやOリングなどの力も相対的に大きな影響を与えます。

そのために圧力調整器には圧力と流量の関係を示す流量特性図というグラフも用意されています。(流量特性図については別の機会にご説明したいと思います)。

とはいえ、どれくらいのクラスの圧力調整器が必要になるか、目安をつけるには非常に便利な係数です。

流量計算ツールのご紹介

これまで説明してきた計算式は単位が全てヤード・ポンド法です。
これをメートル法に変換するのは少々めんどうです。

弊社ホームページでは圧力や流体名を入力すれば流量や必要Cv値が分かるツールを公開しています。ぜひ使ってみてください。

流量・Cv値計算ツール

編集後記

今回のメールマガジンはいかがでしたか。 

減圧弁の構造はシンプルですが、掘り下げると意外と奥が深かったりします。
このメールマガジンを通じて少しでもご興味を持ってもらえると幸いです。

次回もよろしくお願いいたします。

発行元:株式会社テクメイション 東日本営業1グループ
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