Techmation

テクメイション通信Vol.008

おはようございます!株式会社テクメイションです。

夏野菜が美味しい季節となりました。旬の野菜にはその季節に必要な栄養素が含まれているそうです。じめじめした天気が続きますが体調管理をしっかりとして夏を乗り切りたいものです。

今回も流体制御をテーマにお役立ち情報をお届けします。
どうぞよろしくお願いいたします。

(本日の担当:大川原)

今回のもくじ

1.【技術情報】ドループを抑えるには

2.【トラブル事例】二次側に圧力が残ったままハンドルを戻してはいけません

3. 編集後記

ドループを抑えるには

前回のメルマガで、流量変化に伴い調整圧力が変化するドループ(Droop)現象をご説明しました。

では、ドループを抑えるためにはどのような方法があるのでしょうか。

【1】Cv値の大きいモデルを選択する

Cv値は流量係数で、数値が大きいほど同一条件で流量を多く取れることを表しています。
Cv値が大きい減圧弁は、オリフィス(絞り)の面積が大きくなっています。
Cv値の小さい減圧弁と比べて同じ流量を流すのに隙間を大きく開けなくてもよいため、調整スプリングが伸びる距離は短くて済むことになります。
よってスプリングの反発力の下がり幅は小さくなり、結果ドループは小さくなります。

ただし、必要以上に大きいCv値の減圧弁は、初期ドループ(流れ始めに見られる圧力降下)が大きかったり、小流量時に圧力が不安定になるなどの弊害もありますので、適切なサイズの製品を選択する必要があります。

 

20-1200シリーズ_流量特性図

上図は20-1200シリーズというCNG車用減圧弁の流量特性図です。
比較的大きなCv値が特徴です。

ご覧の通り、流量に対しての二次圧の落ち込みが非常に緩やかです。

反面、流量ゼロから流れ出す瞬間の圧力降下(初期ドループ)が大きくなっています

【2】調整スプリングが長いモデルを選択する

ドループ抑制のために調整スプリングを長くしたモデルを用意しているメーカーもあります。TESCOMもそのうちのひとつです。

同じ流量を流す際、調整スプリングが伸びる距離は同じでも調整スプリング全体が長ければ伸びる比率は小さくすることができます。
よってスプリングの反発力の下がり幅は小さくなり、結果ドループは小さくなります。

【3】ドムロードやエアロードのモデルを選択する

ドループの発生は結局のところ、調整スプリングが伸び、反発力が下がることが原因です。
それでは調整スプリングを使わず駆動用ガスで圧力を設定するドムロードやエアロードではどうでしょうか。

実はドムロードやエアロードでも、ドループは発生します。
ガスを流すとドム室やアクチュエーター内のダイアフラムは、流量ゼロの状態と比べて下側に伸びてドム室やアクチュエーター内の容積は若干広がるため、駆動エア圧力が下がります。
この下がり幅がドループとなります。

とはいえ駆動エア圧力はドム室やアクチュエーター内容積だけでなく、駆動エアを運ぶ配管スペースにも及ぶため、ドム室やアクチュエーターのダイアフラムが下側への伸びによる容積の広がりの影響は微々たるものです。
まさに調整スプリングがとても長い減圧弁というイメージです。

よって、一般的にスプリングロードに比べるとかなりドループを抑えることが可能です。

ところでドムロードやエアロードの駆動用ガスの圧力を制御するのには、別途減圧弁が必要となります(パイロット減圧弁と呼びます)。

パイロット減圧弁に精度が良い製品を使用すると

  1. ガスを流した際のドム室やアクチュエーター内の駆動エア圧力の低下を感じとり、当初の圧力に戻るまでパイロット減圧弁が駆動エアを供給します。
  2. 逆に、流量が少なくなった際にはドム室やアクチュエーター内の駆動エア圧力の上昇を感じとり、当初の圧力に戻るまでパイロット減圧弁はベントをします。

以上の働きで、さらにドループを抑制することができます。

二次側に圧力が残ったままハンドルを戻してはいけません

装置を使い終わった後、内部にガスが残ったまま元圧供給口の減圧弁のハンドルを戻していませんか?
ですが二次側に圧力がかかった状態でハンドルを戻すことは非常に危険です。

プロセス流体の圧力はダイヤフラムを介してロードスプリングの力(Air駆動の場合は駆動Air圧)とバランスした状態です。

ダイアフラムを介した上下の力

その状態からスプリングの力のみを開放してしまうとダイヤフラムの片側(プロセス流体側)からのみ力が加わることになります。

ダイヤフラムは圧力を高精度に感知するため非常に薄い金属板で作られております。片側からのみ押されたダイヤフラムは伸びてしまい、調整能力に悪影響を与えます。
最悪の場合シール部分が破損して外部へガスが流出します。

このような事態を避けるため、ガスを消費しきるか、ベントバルブ等で二次側の圧力を抜いて圧力が無くなってからハンドルを緩めてください。

なおピストン式の減圧弁の場合は圧力を受けているバックアップセンサーが十分な厚みを持っているため、そのような危険性はありません。

編集後記

今回のメールマガジンはいかがでしたか。 

圧力調節器は多種多様な使い方ができる反面、予期せぬトラブルが起きる可能性がございます。このようなトラブル事例のご紹介が少しでも事故を防止する手助けになればと思います。

次回もよろしくお願いいたします。

発行元:株式会社テクメイション 東日本営業1グループ
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