Techmation

テクメイション通信Vol.016

おはようございます!株式会社テクメイションです。

暑さ寒さも彼岸までと言いますが、だいぶ過ごしやすい気候になってきました。これから食べ物がおいしい季節、皆様もカロリーの取りすぎには十分注意してください。

今回も流体制御をテーマにお役立ち情報をお届けします。
どうぞよろしくお願いいたします。

(本日の担当:大川原)

これまでバックナンバーはこちらからご覧になれます。

テクメイション通信バックナンバー

今回のもくじ

1.【製品紹介】26-1700シリーズ背圧弁のご紹介

2.【使用例】別圧力に追従できるリファレンス駆動方式

3. 編集後記

26-1700シリーズ背圧弁のご紹介

本日は4つのカテゴリのひとつ、26-1700シリーズをご紹介します。
26-1700シリーズはTESCOMを代表するモデルでこの青いハンドルをご覧になったことのある方も多いと思います。

26-1700本体を正面から見てみます。

26-1700正面写真

今回は弊社でテスト用に使っているものをご用意しました(新品でなくすみません)。
ずっしりとした重さで安定感を感じさせます。

ピストン式センサーを採用し、通常は最大10,000psi(68.9MPa)、オプションで20,000psi(137MPa)まで使えるモデルもご用意しています。
Cv値は標準0.1および0.14、オプションで微調整用に0.02、大流量用に0.6のモデルがあります。
出入口接続はNPTをはじめSAE、コーン&スレッドHP、コーン&スレッドMP。サイズは1/8"、1/4"、3/8"、1/2"です。
Oリングやシート材質を変更することでほとんどの流体の使用が可能です。

TESCOM製品のベストセラーで様々な用途で使用いただけます。
特に圧力調整の再現性については多くのお客様からお褒めの言葉をいただいております。

これらはシンプルかつ考えられた部品構成で実現しています。
少しですがその秘密をお話しします。
それでは内部を見てみましょう。

ハンドノブとボンネットを外しました。

26-1700分解_01

この大きなボールベアリングも26-1700の特徴のひとつです。
高圧用圧力調整機はハンドノブを押し込むのが大変な製品もありますが、これのおかげで高圧制御にもかかわらず比較的スムーズな操作性を確保しています。

アジャストスクリューを取りだしてみました。

26-1700_アジャストスクリュー

右側の黒っぽい円筒状の部品がボールベアリング、左の凸型の部品とボルトの組み合わせがアジャストスクリューです。

ボールベアリングと精密なアジャストスクリューの組み合わせが高感度な圧力制御や良好な再現性を支えています。ここに遊びがあると圧力制御がブレてしまいます。
「クリストルーブ」というフッ素系高性能グリスを使っているので、経年での変化が非常に少ないです。この26-1700もいまだに粘度を保っています。

26-1700_ロードスプリング

角スプリングを採用することで、このサイズでも大きな荷重をかけることが可能になっています。また、軸との摺動を避けることができ、これも良好な圧力制御につながっています。

センサーを取り出しました。

26-1700_センサー

センサーとバックアップセンサー、ステムです。
この3点のクリアランスは思っているより遊びが多く、これも小さな力を感知できる秘密の一つです。実際に指で押すだけで上下させることができます。
そしてこの絶妙な角度で作られたステムとシートが正確な圧力調整を可能にします。

以上、ほんのさわりですが内部のご紹介でした。

先にも述べましたが、良好な圧力制御、再現性はお客様の評価も高く、TESCOMのベストセラー製品のひとつとなっています。
お気軽にお問い合わせください。

別圧力に追従できるリファレンス駆動方式

圧力調整機には、圧力設定するために3種類の駆動(ロード)方式があることを以前ご紹介しました。

【Vol.004】3種類の駆動(ロード)方式

実はもう一つ駆動(ロード)方式があります。
それがリファレンス駆動方式です。

スプリングロードのおさらい

下図は以前ご紹介したスプリングロード方式です。

スプリングロード

緑色に塗ってあるスプリングが駆動源です。
ボンネットの右側にねじが切ってありますが、これはなんでしょうか?

これはボンネット内部と外気を導通させるための単なる空気穴です。
実はロードスプリング以外に大気圧の力がダイアフラムにかかっているのです。

地上では考慮することはありませんが、国際宇宙ステーション暴露環境で使われている減圧弁などでは大きな影響を受けます。地上でセットした圧力と必ずズレが発生してしまうのです。

スプリングロード + ドムロード?

そこで役に立つのがスプリングの力と駆動用ガス圧力の組み合わせで圧力設定をする方式です。

スプリング+ドム

ドム室の中にバイアススプリングと呼ばれるバネが入っています。
例えば、スプリングで0.1MPaを設定して、ドム室に1.0MPaの駆動用ガスを供給するとします。
原理的には、合計1.1MPaの圧力設定をすることができます。
(実際には部品の摺動抵抗等の影響があるので現地での調整は必要になります)

この方式だと外気圧が違う宇宙空間や深海でも圧力調整器が使用可能です。

こんな使い方も

リファレンス駆動式は地上でも面白い使い方が可能です。
たとえば下図のようにA,B二系統の配管があるとします。

リファレンス駆動式を使用したフロー

ここで変化するAの圧力に対して、Bの圧力を一定差圧に保つということが実現します。

まずはBの減圧弁をリファレンス駆動式にし、ドム室にA配管の圧力を供給します(リファレンス圧)。
次にB減圧弁のバイアススプリングを調整し、αだけ圧力が高くなるように調整します。

するとPAの圧力が変化しても、PBは常にPAの圧力(リファレンス圧)にαを加えた圧力に設定することができるのです。

上記例ではドムロードの圧力にスプリングの力をプラスする、ポジティブバイアスという使い方です。
圧力のかかった滅菌容器に少しだけ高い圧力の滅菌用蒸気を供給する用途液体軸シールなどに使われています。

逆にドムロードの圧力にスプリングの力をマイナスする、ネガティブバイアスというモデルもあります。こちらはリファレンス圧 - αの圧力調整を実現します。

少し変わった駆動方式ですが、設備設計の一つのアイデアになりましたら幸いです。
ご興味ありましたらぜひ一度担当営業にお問い合わせください。

編集後記

今回のメールマガジンはいかがでしたか。 

ベストセラーにはそれなりの理由がございます。
こういう場でもないとなかなかご紹介する機会がございませんが、小さなボディにも様々なノウハウが詰まっております。

次回もよろしくお願いいたします。

発行元:株式会社テクメイション 東日本営業1グループ
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