Techmation

テクメイション通信Vol.020

おはようございます!株式会社テクメイションです。

長い間東北に住んでいたので寒さには強いと自負しておりましたが、そろそろコートが無いと厳しい季節となりました。
ちなみに札幌と鹿児島では10月の月別平均気温は約10℃差があったそうです。改めて日本には多様な気候が存在していることを実感しました。

今回も流体制御をテーマにお役立ち情報をお届けします。
どうぞよろしくお願いいたします。

(本日の担当:大川原)

これまでバックナンバーはこちらからご覧になれます。

テクメイション通信バックナンバー

今回のもくじ

1.【製品紹介】44-2200減圧弁の内部を見てみる

2.【技術情報】圧力調整器における禁油禁水

3. 編集後記

44-2200減圧弁の内部を見てみる

本日は4つのカテゴリの最後のひとつ、44-2200シリーズをご紹介します。
44-2200シリーズはコンパクトで高感度な低圧用減圧弁です。

44-2200正面写真

ダイアフラム式センサーを採用し、通常は入口圧力3,500psi(24.13MPa)または400psi(2.75MPa)、調整圧力は最大500psi(3.44MPa)まで使えます。
Cv値は入口圧力3,500psiのモデルが0.06、入口圧力400psiのモデルが0.15です。
出入口接続は標準がNPT、オプションでSAE、サイズは標準が1/4"でオプションで1/8"と3/8"も選択可能です。
ダイアフラム材質は316SSTの他にもハステロイやエルジロイが、樹脂シートはテフロンのほかPEEKやベスペルも選択できます。
接ガス部は金属と樹脂シートのみで構成されていて、Oリングを使用していないため様々な流体でご使用いただけます。そのため非常に使いやすい減圧弁です。

直径は50ミリ、高さは約130ミリ(ハンドルの位置で変わります)、重さは920グラムと大変コンパクトにできています。

44-2200_底面部のネジ

底面には固定用のねじ穴が2か所あります。ねじ規格は#10-32UNFです。
実はM5ねじも使えます。若干遊びが多いようにも感じますが、固定してしまえば問題ありません。
この辺りは44-2300背圧弁と全く同一です。

44-2200_接続部

44-2300と違い、入り口側に40ミクロンのメッシュフィルターが付いています。

それでは内部をご覧に入れます。
今回も断面図を見ていただいたほうが分かりやすいと思います。

44-2200の断面図を見る

【205】ハンドノブを外しました。

44-2200分解_01

44-2300と全く見分けがつきません。

右側に見える小さな穴はダイアフラムのリーク有無を確認するテストポートです。

【201】ボンネット部にはパネルナット用のねじが切ってあります。
別売りのパネルナットを使用して、パネルに挟み込むことができます。

44-2200分解_02

ボンネットに1/8"のねじが切ってありますが、これはボンネット内部を大気圧と同圧にするための導通穴です。キャプチャーできるモデルと部品が共通になっているのでねじが切ってありますが、以前のモデルではただの穴でした。

44-2200分解_03

ここからゴミが入ってしまうこともありますので、弊社ではこの穴をふさぐためのプラスチックキャップをお付けしています。

ボンネットを外しました。

44-2200分解_04

ここでも44-2300と見分けがつきません。
【207】ロードスプリングの力が直接【003】ダイアフラムにかからないように【206】パッドがあります。
このパッドはボンネットと連携してダイアフラムが上に移動しすぎて変形しないようにするリミット機能も兼ねています。この部品がないとダイアフラムの疲労破壊が早まってしまいます。

44-2200分解_05
44-2200分解_06

ダイアフラムです。同心円状に段がつけてあります。単純な平板薄膜よりも変形しやすくなるので精度は高くなり、寿命も長くなります。実は44-2300と共通の部品です。

44-2200分解_07

背圧弁とステムの向きが逆なので、今はダイアフラムに当たる先端部分だけが見えています。
左の大きな穴は出口側のポートにつながっています。
【151】シートリテーナーを外してあげるとステムが取り出せます。

44-2200分解_08
44-2200分解_09

シートリテーナーを外しました。【156】シートが見えます。

44-2200分解_10

【152】ステムを取り出しました。【154】小スプリングはハンドルフリー時にステムをシートに押し付ける役目です。
【155】と【153】はフリクションスリーブと言って、ステムがぐらつくのを防ぐと同時に、ある程度の抵抗をかけてステムが予期しない振動を起こすのを防ぎます。

44-2200は弊社ホームページ上の「減圧弁の動作原理」で模式図と実際の減圧弁の対応図に出てきているモデルです。
よろしければ今回の写真と見比べてみてください。

減圧弁の動作原理を確認する

圧力調整器における禁油禁水

TESCOM社製圧力調整器は禁油・禁水処理可能かどうかというお問い合わせをよくいただきます。

結論から申し上げると禁水は問題ありませんが、完全禁油は難しい場合が多くなります。

TESCOMでは組み立て前に接液部の樹脂製部品やOリングを含む全ての部品をASTM G93-96 Section 9.4 に準拠して洗浄します(ASTM G93 は酸素濃度の高いアプリケーションでの使用部品の洗浄度を規定した酸素専用規格ですが、その他の流体での基準はなく事実上唯一と言っていい洗浄規格です)。
この段階では炭化水素系残留油分と水分は完全に除去されています。

半導体用圧力調整器の場合

この状態のまま組み立てます。よって完全な禁油・禁水です。
ただし、ネジ部に潤滑油を塗らないため、一度組み立てると分解は基本的に不可能です。
よってオーバーホールや修理も事実上不可能となっています。

一般産業用圧力調整器の場合

ネジ部、Oリング部に潤滑油を塗布して組み立てます。よって完全禁油とは言えません。
使用している潤滑油はクリストルーブ(CHRISTO-LUBE)という製品です。このフッ素系潤滑油は水素を含まず、酸素と反応しないのが特徴です。たいへん高価なのですが、その特徴からダイビング関係の機器に必ず使われています。

潤滑油をコンタミネーションと考えるアプリケーションでなければ問題なく使用可能です。

Oリングに潤滑油を塗布する二つの理由

一つ目はOリング装着時の破損を防ぐためです。ゴムは抵抗が強いので潤滑油なしで所定の位置にはめ込むのはなかなか難しいです。
二つ目はゴム表面の凹凸に潤滑油を染み込ませ、シール性能と摺動性能を上げるためです。
弊社でもお客様のご希望で潤滑油なしで再組み立てしたこともあるのですが、通常と比べてリーク発生までの時間が短いように感じています。

一般産業用圧力調整器で完全禁油にする方法

ダイアフラム式圧力調整器であればOリングがありませんので、メンテナンスのことを考えなければ完全禁油が可能です。実は半導体用圧力調整器は全てダイアフラム式ですので、この方法で完全禁油を実現しています。

センサー式圧力調整器ではOリングの材質をテフロンに変更することで対応可能です。
ただし、ゴムに比べると圧倒的に硬いので、センサーの動きが渋くなってしまいます。
具体的には圧力調整が荒くなるなどの症状が出てしまいます。

編集後記

今回のメールマガジンはいかがでしたか。 

4つのカテゴリの圧力調整器を一通りご紹介いたしました。これらはベーシックな製品ですが、それ故にTESCOM社の技術の集大成ともいえる製品となっております。
初めてご使用を検討されている方も熟知されている方も改めて構造・機能をご確認いただければ幸いです。

次回もよろしくお願いいたします。

発行元:株式会社テクメイション 東日本営業1グループ
〒104-0041 東京都中央区新富1-6-7
TEL:03-5566-6551 FAX:03-5566-6556
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