Techmation

テクメイション通信Vol.021

おはようございます!株式会社テクメイションです。

本日より二十四節気の「大雪」です(今年は12/7〜20です)。
「煤払い」や「歳の市」など年末に向けていろいろな行事が行われますね。
私も今年こそは早いうちに小掃除を積み重ねて年末に慌てないようにしたいと思います。

今回も流体制御をテーマにお役立ち情報をお届けします。
どうぞよろしくお願いいたします。

(本日の担当:落石)

これまでバックナンバーはこちらからご覧になれます。

テクメイション通信バックナンバー

今回のもくじ

1.【製品紹介】焼結金属式フローリストリクター

2.【技術情報】液体用圧力調整器

3. 編集後記

焼結金属式フローリストリクター

フローリストリクターという機器をご存知でしょうか。
あまり聞いたことのない言葉だと思いますが、フローリストリクターとは流路を狭めることにより流量を制限する機器のことです。
一般的には継手の内部にオリフィスを設けて流量を制限しています。

オリフィス式フローリストリクター断面

オリフィス式のフローリストリクターは流路が狭まっているのでどうしても乱流が発生してしまいます。また異物の影響を受けやすい欠点も持っています。

それに対して、弊社で扱っているmott社のフローリストリクターはオリフィスの代わりに焼結金属を用いているのが特徴です

フローリストリクター写真

焼結金属とは金属の粉体を焼き固めて多孔質にした部品であり、フィルターなどにも使われています。左右で穴の大きさが違うのが見えると思います。
この写真は接続がVCRですが、チューブ用食い込み継手のモデルもご用意しています。

一般的なオリフィスに比べると、面全体で流れを受けることができるので乱流を抑えることができ、安定した流量調整が可能です。

焼結金属式フローリストリクター断面

オリフィス仕様のフローリストリクターはオリフィス径をいくつか用意して、適した製品をお客様に選んでいただく方法です。
それに対してmott社製フローリストリクターは元圧と流体、ご希望の流量をお聞きした上で、ご使用条件に合わせて調整した焼結金属を使用しています

フローリストリクター刻印

少し見えづらいですが、元圧・流体・流量の仕様がこのように本体に刻印されています。

以下に代表的な使用例を4つ示します。

流量調節

流量調節

最も基本的な使い方です。
フローリストリクターの前段を減圧弁で精密に圧力制御することでMFCと比較して安価に流量調整が可能です。
ただし流量の可変はできませんので、仕様が決定した量産品等に向いた方法です。

流量制限

流量制限

例えばMFCの前段にフローリストリクターを入れることで、MFCに大流量が突入することを防ぐことができます。
保護する機器はMFC以外にも考えられると思います。

流量分割

流量分割

単一の圧力源から確実に流体を分割できます。
複数付けるフローリストリクターは流量の仕様が違う製品でも問題ありません。その場合はそれぞれの流量を制御することになります。

流量均整

流量均整

チャンバー内に複数流路から均一に流体を導入できます。
フローリストリクターがないと、減圧弁から近い部分と遠い部分で流量が変わってしまいます。

最後になりましたが、内部の焼結金属部のみの製品もご用意しています。
お客様の製品に組み込むことも可能です。

フローリストリクター5000

液体用圧力調整器

ウォーターカッターや高圧液体反応装置など、液体を使用する場合は気体とは異なる挙動・性質を示すので以下のような注意が必要となります。

金属ダイヤフラムは基本NG

金属ダイヤフラム式圧力調整器はピストン式より圧力の変化を高感度で感じ取れますが、反面急激な負荷(例えば水撃作用など)を与えるとダイヤフラムが衝撃を吸収しきれず変形してしまいます。そうすると感度も悪くなり最悪の場合シール不良で外部へ流体がリークします。

そのため液体を使用する場合は基本的にピストン式か樹脂製ダイヤフラムを採用します。
金属製のピストンは衝撃に強く、樹脂製のダイヤフラムは衝撃を吸収して致命的な変形を防ぎます。
(あくまで原則であって金属ダイヤフラムが絶対に使用不可というわけではありません。脈動がない均一な流れであれば使用できる場合も多々あります)

キャビテーションに注意

Vol.11「圧力調整器のトラブル」でご紹介しましたが、高圧液体を減圧した場合、微細な気泡が高速で発生・崩壊を繰り返して金属表面を破壊します(キャビテーションによるエロージョン)。

テクメイション通信Vol.011

特にステム-シート間(オリフィス部)では流速も早くなりキャビテーションも発生しやすくなります。キャビテーションが発生するとシートはもちろん酷い症状の場合には圧力調整器ボディの底面に穴が開いたりします。そのためシート・ステムの材質に耐摩耗性の素材を使用したり流路を変更したりします。

液体用減圧弁54-2000シリーズ

テスコム社のラインナップにも液体用と謳っているシリーズがいくつかあります。代表例として高圧液体用減圧弁54-2000シリーズをご紹介します。
こちらはセンシング機構としてピストン式を採用しているので液体アプリケーションでも問題無く使用可能です。一次側/二次側共に標準で10,000psi(68.9MPa)の圧力まで対応可能で、Oリング材質を適切に選定することで様々な流体で使用可能です。

基本構造は同じピストン式減圧弁の44-1100や26-1000と似ていますが、液体に対応するため独自の特徴を持っています。

まずステムとシートで形成される減圧部分(オリフィス部)ですが、気体用の減圧弁ではメタルステムと樹脂製のシートで構成されているのに対し、54-2000は金属製シートを使用しています。シール性能という意味では樹脂製シートの方が優れていますが、金属製にすることにより衝撃やキャビテーションに対する抵抗性が高くなります。材質は17-4SST(SUS630相当)です。

ステム形状も標準の鉛筆型ではなく球形状になっています。材質も440SSTで、より摩耗性に強い形状・材質を採用することで製品寿命を延ばします。

54-2000_球状ステム

上図のオレンジの部品が球形ステムです。

またオプションとなりますがキャビテーション対策として二次側流体出口がボディ下側(ハンドル部分を上とした時)に施工されているモデルもご用意しています。
減圧後の流体をそのまま下に流すことにより腐食を起こす気泡が金属表面に直撃するのを防止するという発想です。

キャビテーションなどの液体特有の現象を完全に抑制することはできませんが、材質や形状などを工夫することにより少しでも長く、安定的にご使用いただけるよう日々改良を続けています。

編集後記

今回のメールマガジンはいかがでしたか。 

ご紹介したフローリストリクターはアイデア次第で様々な用途に使える可能性を秘めた面白い製品です。
お気軽にお問い合わせください。

次回もよろしくお願いいたします。

発行元:株式会社テクメイション 東日本営業1グループ
〒104-0041 東京都中央区新富1-6-7
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